top of page

【映画評】るろうに剣心 伝説の最期編

久しぶりに映画館がほぼ満席になっているのを見ました。

最前列に座っている人はかろうじていないものの、2列目から最後列までびっしり!

難波や梅田でもないあんな車に乗って行くしかない埋め立て地にある映画館のレイトショーでこの人入りとは。土曜日であったとしても凄いです。

そして意外だったのが観客の年齢層が高い

21時前からのるろうに剣心なんて学生か僕ら位の年代の人だけかと思いきや、自分の親くらいの夫婦やちょっと初老と言っても過言ではないおじいちゃんおばあちゃんが結構いました。

幅広い世代にうけているのか、試しに見に来たのか・・・どちらにせよそれだけで久しぶりに「人気のある(注目度のある)映画」を見る気分でした。

さてさて見てきました、るろうに剣心 伝説の最期編。

実写版るろうに剣心の魅力や前編にあたる京都大火編の簡単なレビューは前回記事にしているのでよろしければそちらもどうぞ。

【るろうに剣心 伝説の最期編(2014)/ 邦画/ カラー/ 135分/ 監督:大友啓史】

日本の征服を狙う志々雄を阻止するため京都に辿り着いた剣心は、志々雄一派に立ち向かうが、志々雄は鋼鉄艦・煉獄で東京へ攻め入ろうとしていた。志々雄に連れ去られた薫を助けるために剣心は海へ飛び込み、一人岸へ打ち上げられたところを、師匠の比古清十郎に拾われる。今の自分では志々雄を倒せない……剣心は清十郎に奥義の伝授を懇願する。一方、剣心が生きていると知った志々雄は政府に圧力をかけ、剣心を人斬り時代の暗殺の罪で公開打ち首にするよう命じる。

満足な見応えと見慣れてしまった最高水準  

京都大火編で1作目から進化した殺陣とスケール感を既に十分見せてくれたるろうに剣心。

そのさらなる集大成の完結編としてこの「伝説の最期編」は観客の期待に十二分に応えてくれていると思います。

佐藤健は京都大火編のパンフレットにあるインタビューで「京都大火編での剣心は人斬り抜刀斎とるろうにの狭間で葛藤しており、全力を出し切れていない。全力を出しているつもりなのに出ていないというバランスの演技が難しかった」という旨を語っており、京都大火編での剣心・・・充分凄かったのに全力じゃなかったみたいです。

あれより凄いアクションなんてできるのかとこの1カ月待っていましたが・・・・杞憂でした(笑)

写真 2014-09-15 12 24 02.jpg

全2作で印象的だったアクションシーンは全部入れて尚且つ新しいのも入っています。

アクションに関してはどれも集大成の名に相応しいスケールと派手さです。

冒頭の比古清十郎、中盤の四乃森蒼紫、終盤の煉獄、どれもが新しい邦画として海外マーケティングを考えても良いレベル。

写真 2014-09-15 12 50 46.jpg

ただアクションシーン全体で見ると目新しさはそこまでなかったかなと。確かに凄いアクションシーンの連続で圧倒はされますが、最早全2作で「邦画でよくぞここまで」という水準を作り出しているので見慣れたものではあります。逆に集大成ということで香港映画のカンフー要素から協力戦要素までこれでもかと入れてあるので、ぶっちゃけ一回の視聴だけでは理解できないレベルの速さと立ち回りです。Blue-rayのスローモーションで見たい(笑)

・・・・凄いんですよ!?w凄いんですけど同じ路線での進化形という意味で目新しさがないということです。いうなればLinkinparkが1作目のhybrid thoryで傑作を生み出して、そのまま2作目も同系列進化で最高傑作Meteoraを生み出したみたいな感じです。わかるかなぁ~(笑)

必殺技  

肝心の必殺技ですが前作同様今回もちゃんと出ています。

龍翔閃、龍槌閃、天翔龍閃、縮地、牙突、回転剣舞六連、焔霊、紅蓮腕etc.

剣心の九頭龍閃と左之助の二重の極み、志々雄の奥義カグヅチは確認できなかったのですが、パンフレットを見ると九頭龍閃は比古清十郎も剣心に撃っているし青紫戦でも剣心が使っていたみたいです。ただの突き攻撃やと思っていたやつがそうやったっポイです。それなら最後にカグヅチも出ていたのかな。要確認です。やっぱ九頭龍閃と天翔龍閃はセットですからねぇ~、とりあえずそこだけちょっと拍子抜け。ただ蒼紫戦の龍翔閃から龍槌閃、そして九頭龍閃(気づかなかったが(笑))の流れと、最後天翔龍閃で左足を踏み込むシーンにはやはり興奮しました。

写真 2014-09-15 12 27 58.jpg

輝いた悪役。五分五分の福山雅治・・・そしてほんこん  

藤原達也・神木隆之介は本当に良い演技でした。

藤原達也は京都大火編ではそこまで出番はなく、もう何なら藤原達也じゃなくてもいいんじゃないか?くらいのものでしたが、ちょっと待ってください。伝説の最期編を見終わった頃には「藤原達也でよかった」って誰でも思います。きっと(笑) 

やはり叫びとゲス役に定評のある藤原達也。

それに舞台俳優出身ということもあり、演技で観客を引き込む方法を知っています。主役級の役者があんなに揃っている中でもあの存在感なので、演技力としても頭一つ飛びぬけているのでしょう。

なんていうか・・・・画面がしまります。単純にアクションに目が行きがちですが、それを表しているのが砂浜で志々雄一派と政府側の人たちと会食をするシーン。砂浜に陣を張りビーチのど真ん中でフランス料理のフルコースを食べるというふざけているとしか思えないシーンでも藤原達也の志々雄が演説するだけで場面がしまります。やはりそういう所に出るのかなと思います。

もちろん最終決戦での「最強感」も間違いないです。最後の1対4では多分原作より高い強さ設定になっている感じすらします。3人同時に切りかかって来ているのに全部さばききる上に全員薙ぎ払いますからね(笑)そしてちゃんと今回も叫びとゲスっぷり(僕の中で志々雄はゲスではないんですけど・・w)は健在です。

写真 2014-09-15 12 20 44.jpg

神木隆之介は、本当に宗次郎が好きなんだなというのが伝わってくる演技っぷり。

前作では縮地の表現、掴み所のない性格の演技でその片鱗を見せていましたが、原作を読んでいる人ならお分かりの通り今回宗次郎は最終的にぶっ壊れていきます。そのぶっ壊れていく過程で本当に魅せてくれます、「宗次郎オタク」っぷりを(笑)そしてやはり剣心と宗次郎の最速同士の決戦は凄いの一言。役者としてもよくあの一手一手が頭に入るなという太刀数の多さです。宗次郎を神木隆之介でやるのは国民の総意です(笑)

16594.PNG

福山雅治キャスティングは良かったか悪かったで言えば五分五分です。

剣心の師匠として剣心を簡単に薙ぎ払う実力と実際に斬撃が重そう感は良かったのですが、如何せん大根役者感がします。福山雅治ファンの人ごめんなさい。

ただそこよりも福山雅治登場シーン(奥義伝授のくだり)は女性ファン向けに作ってあるとも言えます。

佐藤健と福山雅治という二大イケメンが剣を交え、泥んこになり、これでもかと顔のアップシーンが連続します。剣術も凄いしイケメンなので男が見ても耐えられるものになっていますが、女子が見たらもうキュンキュンなんでしょうね(笑)

写真 2014-09-15 12 21 01.jpg

というか今回、志々雄側が皆良い演技をしているのに、剣心側に大根が多過ぎる!

そして伝説の最期編では芸人のほんこんが出ています。詳しくは知らないですがこの作品の中でこういうチョイ役で有名人が出るっていうのは多分ほんこんだけじゃないでしょうか??是非探してみてください(笑)

もはやオリジナル志々雄編  

ここからは少し悪い部分。

伝説の最期編では京都大火編よりも原作からのストーリーを大幅改変・カットしています。

もはや原作と比べると7割くらいのストーリー構成を改変しているのではないでしょうか。

そしてその改変が成功しているのもあれば、なぜそうした?というものもあります。

まずは宗次郎、安慈以外の残りの十本刀はほぼ全カット。

京都大火編でもビジュアルは出ていたので、もしかして対決あるのかと期待していましたがはやはり上映時間上、ストーリー展開上、描けず。もはや名前すら出ていません(笑)

なのになまじ通常の雑魚敵ではない感を出しているので、キャラの説明なし、セリフもなし、やられるときは斉藤一にあっさりやられる展開を見せられると原作を知らない観客は「あいつはなんだったんだ」状態になります。もう「十本刀」という設定すら実写版にはいらなかったかもしれません。

次に翁の死

単純に死ぬ必要あったのか!?この蒼紫のくだりは剣心を追う理由から事が片付いた時の操の決断まで全て腑に落ちません。

そして一番ダメだったのが神谷道場組の描かれ方のお粗末さ。

恵と左之がストーリー上活躍をしているものの弥彦と薫は出て来てもキョロキョロ、おろおろしているだけ。

原作では弥彦も薫も十本刀と戦い京都を守るという大任を任され前後のバトンを繋ぎますが、実写版ではそこらへんからストーリーが変わってくるので後半へのバトンの受け渡しがうまく繋がっていません。比古清十郎の奥義伝達シーンで剣心が悟る今作のメインテーマとも言える心情のさらに根源が薫なのにほぼ絡みなし。無事と分かればあとは心が繋がっているとでも言いたいんでしょうが、あれなら最後までギリギリ行方不明にし、最後に実は助かってましたで出てきた方が良かった気が・・・

京都大火編では原作からカットは多々したものの比較的忠実に話が進んだので上手く辻褄を合わせ、演出もよく出来ていたなと思っていた分、伝説の最期編での大幅な改変が大きく目立ちました。

総評  

前述で悪いところも書きましたが、全体的に見ると「静」の前半から「動」の後半へ、オリジナル要素を入れつつうまく消化できています。

上映時間上、スケール上やっぱりどうしても不具合は出てきますが、それを補うだけのアクション性と悪い部分を超えるストーリー展開があるので許容範囲です。

そもそもいわばお祭りなんですよね。「なにそんなこと気にしてるん!?そんなんしてたらおいてくで!!次つぎ~~~!!!」ってな具合でぐいぐい進んでいく推進力がこの映画にはあります。全く新しい高水準のアクション、藤原達也、オリジナル展開の志々雄編、これだけでお腹いっぱいになります。

昨今の原作イメージ重視の表面的な完コピ実写映画とは一線を画すダイナミズムと再現度。邦画における観客の要求度と映画その物の平均値を大きく押し上げたるろうに剣心シリーズは是非ともおすすめです。

sdrg.PNG

p.s.やっぱり  和装の高橋メアリージュンは綺麗です(笑)そして左之の血だらけ具合と方治は最早ギャグ(笑)

写真 2014-09-15 12 53 14.jpg

© 2023 by Glorify. Proudly created with Wix.com

bottom of page