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俺的シネマランキング2016~2018

お久しぶりです。

久しぶりすぎてこのブログのことを忘れていたでしょう?

・・・・僕もほとんど忘れていました(笑)

久しぶりに前回の記事を読み返してみると、2016年。

なんかmixiの日記を読み返しているようでこっぱずかしかったです。

ということで、2018年、他の人よりも一足早い仕事納めも済んだところで、久しぶりに「俺的シネマランキング」を更新しようと思います。

…とは言ったものの、俺的シネマランキングは2015年分を最後に更新していない。

各年をそれぞれやるか…、2018年分だけやるか・・・・

悩みに悩んだ結果、折衷案として、2016~2018年日本公開映画の中から選ぶことにしました。

2016年から2018年の中で公開された映画の内、鑑賞した映画はちょうど150本。

今日はその中から30本選んでいこうと思います。

では早速行ってみ・・・・る前に、僕のSNSなどを見ている勘の良い人はこう思うはずです。

「どうせ1位、絶対にシンゴジラかこの世界の片隅にやろ!!知らんけど。」

「わかりきったランキング作んなや!ボケ」

と・・・・。

確かにそうです(笑)この2本はぶっちぎりでトップです。

なので、「シンゴジラ」と「この世界の片隅に」は“殿堂入り”扱いとし、ランキングからは外します。もう、書かなくても散々SNSで熱く語っていたので感想も必要ないでしょう(笑)

ではでは、本当にいってみましょう!!!!俺的シネマランキング2016~2018!!!!!

※解説ではなく感想です。

※【】にある年は日本公開年です。

※決定的なネタバレはしませんが、内容に触れたりはするので、ご注意ください。

30位

【Biohazard:Vendetta/2017年/日/PG12+/カラー/97分/監督:辻本貴教則】

ミラジョボヴィッチ版のバイオハザードは置いといて、ゲームのバイオハザードシリーズを語る際に必ず出てくるのが、「ホラー要素が強い1~3派」か「サバイバルアクション色が強い4~6派」かということで、まぁ評価が高いのはどちらかというと1~3の方なんですよね。でも僕としては1~3も好きなんですが、迫りくるゾンビをとにかく殺しまくる4~6のテイストも大好きで、そういった意味でもこの映画はまさに「そうそうそう!こういうバイオハザード映画を見たかったのよ!」というものを見せてくれます。序盤は割と1~3寄りで、クライマックスは4~6寄りと良いとこ取りしたような構成なので非常に満足でした。ただ、ストーリー的には割と破綻しているところが散見するのでこの順位です。

 

29位

【太陽/2016年/日/PG12+/カラー/129分/監督:入江悠】

台詞過多、過剰演出、叫びまくりなど、日本映画の悪いところてんこ盛りな部分もあるんですが、なんとなく好きな一本(笑)近未来設定なのに舞台は四国の田舎の山間部。ある種のディストピア感や退廃的な雰囲気などなど、一癖も二癖もある設定や演出は意外と癖になる。そんな一本です。

 

28位

【バッドジーニアス 危険な天才たち(原題: ฉลาดเกมส์โกง)/2018年/タイ/PG12+/カラー/130分/監督:Nattawut Poonpiriya】

すいません、原題のところに書いてあるタイ語、合ってるかどうか判別できません(笑)

作戦事態がずさんだったり、結局は金持ちの道具として天才が使われているだけという見方もできますが、青春映画として繊細で甘酸っぱい部分もありますし、なによりサスペンス的な演出が秀逸で、ここ最近見た映画の中でもトップレベルでハラハラドキドキさせられました。肝心のストーリーですが、中心となるケーパー物のようなカンニング大作成、倫理の狭間、親子関係、そして物語の根底を流れる学歴差別経済格差という様々な要素がなんの混乱も起きることなくわかりやすく提示されます。ちょっとわかりやすくなりすぎて、「この構成考えるのにどんだけかかったんや」と心配になるレベル。ネタバレになるので言えませんが終わり方もとてもうまく、見せつけられました。初めてタイ映画を見ましたが、レベルの高さに驚かされた一作です。

 

27位

【葛城事件/2016年/日/PG12+/カラー/120分/監督:赤堀雅秋】

見終わった直後、精神のバランスが崩れそうになるほどの衝撃作。息子が殺人を犯し、残された家族の物語なので、テーマから演出までとにかくしんどいし終始暗い!!でも、家族で外食した際、高圧的な父親が店員にキレ始め、妻や子供たちはただひたすらに気まずい思いをするというような地獄がおもしろくもある一作です(笑)この作品の三浦友和、ウザさマックスなのに憎めない(笑)

 

26位

【カメラを止めるな/2018年/日/R指定なし/カラー/96分/監督:上田慎一郎】

アイデア一発勝負的な映画なので内容についても構成についてもほとんど触れられませんが、前半の矛盾点やおかしい点などに気づけば気づくほど後半が面白くなっていく作品です。今までもこういうアイデアの作品はいくつかありましたが、これは本当にうまいです、いろいろと(笑)ずるい(笑)

 

25位

【新感染 ファイナルエクスプレス(原題:부산행)/2017年/韓/R指定なし/カラー/118分/監督:ヨン・サンホ】

2016年、世界的なゾンビブームにあわせ、日本ではアイアムアヒーローが作られ、韓国ではこの映画が作られました。韓国にとっても初の本格ゾンビ映画ということで注目されていた今作ですが、完成度の高さから世界中で話題となりました。ゾンビ映画定番のお約束を取り入れつつも、韓国お得意の感動要素やドキドキ展開を取り入れた新しいゾンビ映画になっています。

…まさかゾンビ物で泣かされるとは(笑)

 

24位

【ネオンデーモン(原題:The Neon Demon)/2017年/仏,米,デンマーク/R15+/カラー/117分/監督:Nicolas Winding Refn】

「美」にまつわる様々な逸話を、人間の普遍的で根源的な美への執着と、それに取りつかれてしまった人々を交えて描いた今作。モダン的でもありながら、EDMなども使い斬新な絵作り。内容も道徳的、倫理的、宗教的にタブーとされていることを詰め込んだものになっていますので、芸術の一種として残虐性や狂気も認められる人にとっては是非ともお薦めしたい一作です。

 

23位

【何者/2016年/日/R指定なし/カラー/97分/監督:三浦大輔】

映画自体は拙い部分がいくつか気になりましたが、そんなことも気にならないほどとにかく終わり方が秀逸!今でもその後の彼らはどうなってるんだろうと思いをはせることができます。また、「桐島、部活やめるってよ」でもそうだったんですが、朝井リョウ原作は見てると心がえぐられる思いがするんですよね。記憶の中には、飛び切り楽しかったことや悪かったことが残りがちですが、そんなに辛すぎることではないんだけど「なんかちょっと嫌な感じ」「心を少しザラっと撫でられるようなドロドロとした気持ち」っていう「忘れてたあの嫌な感じ」を見せつけてきます。桐島でも何者でもそのような描写があり、見てて他人事とは思えなくなり辛いんですが、これがあるからこそエンディングで救われます。

 

22位

【KUBOクボ 二本の弦の秘密(原題:KUBO and The Two Strings)/2017年/米/R指定なし/カラー/102分/監督:Travis Knight】

ストップモーションで描かれる本作。まずこの作品で言わなければならないのは、これほどの「日本への本気ラブレター作品」はなかなかないということです。日本でこれが出てくるならまだしも、この映画がアメリカから出てきたということに感無量。しかも果てしない労力が必要なストップモーションでですよ!!

話のプロットとしては仲間と旅をし、武器を集め、宿敵を倒すという非常にシンプルな骨組みなのでファミリー向けとしても見ることができますが、ここで終わらないのがKUBOの凄いところ。実はこのプロットが何層にも折り重なった複縦構造になっており、日本のおとぎ話、作品内では語られない関係性、旅の理由、ストップモーションである理由、なぜこの物語が必要なのか等々、最後にそれがドバ~~っと観客に押し寄せてくるので、もうお腹一杯、胸いっぱいになること必至です。複縦構造のタイプとしてはライフオブパイに近いかな。

あとストップモーション=「ナイトメアビフォアクリスマス」「ピングー」みたいなイメージを持っている人なら、最先端のストップアニメーションがこんなレベルになっているのかと驚くこと間違いなしなほどの映像美です。

 

21位

【ドリーム(原題:Hidden Figures)/2017年/米/R指定なし/カラー/127分/監督:Theodore Melfi】

コーヒー一杯を手渡されるだけでここまで感動させられる映画は他にはないでしょう(笑)人種差別、性差別が当たり前にあった時代に、才能はあるのに偏見や差別から正当に評価されない主人公たちが立ち上がり、ひたむきに、時には痛快に理不尽な現状と戦っていきます。

人によっては、この映画を2017年の1位に選ぶ人もいるほどよく出来ているのですが、僕にとってはちょっと綺麗にまとめすぎた印象で、予定調和すぎた感があったので、順位はここに。でも、本当によくはできています。

 

21位まで行ったところで、2016~2018年公開映画ではないものの、見てよかった映画を一つ紹介します。

【ロッキー(原題:Rocky)/1976年/米/R指定なし/カラー/119分/監督:John Guilbert Avikdsen】

あの有名なテーマソングとか「エイドリアァーーーン」とか「生卵一気飲み」みたいなイメージしかない人も多いかもしれませんが、この映画ちゃんと見たことありますか?これね、名作として語り継がれるだけのことあって、今見ても感動します。大味なイメージがあるかもしれませんが、丁寧にストーリーを進めていき、最後に全てを解き放つ、そんな展開です。全シリーズ制覇したのちのクリードなんてもう殿堂入り級に心鷲摑みにされますよ。

2019年1月に続編が公開されるので、この機会にロッキーマラソン、お薦めします。

 

ではランキングに戻って、20位から逝ってみましょう!!!!

20位

【ベイビードライバー(原題:Baby Driver)/2017年/米/R指定なし/カラー/113分/監督:Edgar Wright】

監督がエドガーライトということだけでも見る価値ありですが、今作は監督最高傑作といっても過言ではないと思います。今作最大の特徴と言ってもいい、映像と音楽のリンク。ここまでリンクさせられるのかというほどのレベルで、台詞から銃声、エンジン音、扉を閉める音までとにかく凄いレベルでリンクしています!!!!もうすべての音が「音」ではなく「リズム」。音楽に関してはそんなに詳しくないので書けないのですが、流れている音楽もそれぞれ場面にあった意味ある選曲らしいです(それもセンスありな)。

俺的ベストシーンは「あなた、ベイビーって名前なの!?じゃぁ世の中にある全ての曲があなたのことを歌ってるってことじゃない」って台詞。発想も言い方も可愛すぎた(笑)

 

19位

【若おかみは小学生/2018年/日/R指定なし/カラー/94分/監督:高坂希太郎】

テレビアニメシリーズも同時期に放送しているものの、映画はこの一作で始まりから終わりまで完結しています。僕も全くテレビシリーズは見ていませんでした。さらに言うなら、このポスターを見てわかる通り、完全子供向けの見た目、内容が予想され、何も知らなければ絶対に見ないような感じでしょう。でも初めに答えから言っておきますが、「文句なしの傑作」です。割とはっきり描かれる人生ハードモードな主人公のおっこが女将という仕事を通して、そして、それぞれのお客さんを通じて成長していく様が完璧に描かれていきます。子供が見ても楽しめるようになっているし、大人が見てもまっっっったく問題なく見られるし、ご飯描写も美味しそうだし、泣き死にしそうなくらいクライマックスで泣かされたし、もうとにかく2016年~2018年の中で「なめていたら傑作映画だったモノ」としては文句なしの1位です。この映画が完璧すぎるので、良い意味で、TVアニメシリーズも見たくなくなるほどです。

 

18位

【沈黙-サイレンス-(原題:Silence)/2016年/米/PG12+/カラー/159分/監督:Martin Scorsese】

「なぜ神は我々にこんなにも苦しい試練を与えながら、沈黙したままなのか?」という有名なキャッチフレーズが表す通り、「信仰とは何か」「真理とは何か」「正義とは何か」ということをあのスコセッシが描いてくれます。ただ、テーマは重いものの実際に見てみると、決して難解な映画ではなく、非常にシンプルで分かりやすく作られているので、そんなに気難しく考えなくてもいいと思われます。「日本人は無宗教な人は多いけど、無神論者はほとんどいない」と言われることがよくありますが、そういう時代だからこそ、見ておかないといけない一作だと思います。

 

17位

【ドントブリーズ(原題:Don’t Breathe)/2016年/PG12+/米/カラー/88分/監督:Fede Alvarez】

今年流行った「音を出したら殺される系映画」の元になったと言ってもいい今作。ネタバレになるのであまり言えませんが、ある種の「なめてたらとんでもない奴だった」系のものでもあり、この手のものが好きな人なら歓喜すること間違いなしの類の映画です(笑)今作に関してはその「とんでもない奴だった」というところに一ひねりがあるので、驚きの連続ですが、演出のギミックもてんこ盛りで、本当に最後までダレることなく突っ走っていきます。映画が好きな人であればあるほど、監督から映画のおもてなしを受けているような感覚を受けると思います(笑)「ほら、ここでこうしてほしかっただろう??」「ここであれ出してほしかっただろう?!」と見透かされたように「接待」してくれます(笑)

 

16位

【ボーダーライン(原題:Sicario)/2016年/米/R15+/カラー/121分/監督:Denis Villeneuve】

現在進行形で続いているメキシコ麻薬戦争を描いた本作。物語は、優秀なFBI捜査官の主人公がメキシコのカルテルを追跡・捜査する任務に引き抜かれるところから始まります。現地に着いたばかりの主人公は、正義は法の下行われると純粋に信じ、倫理にもとる行為などありえないと考えており、これは観客の目線と同じとも言えます。なので観客もその視点でどんどん感情移入していくはずです。しかし徐々に麻薬戦争の「実情」が主人公を通して、私たちを重い一撃で殴りつけてきます。この映画はフィクションですが、実際に20万人以上が殺されているメキシコ麻薬戦争の実情の前で、アメリカが直面している問題の深刻さ、用いる手段の正当性、そして幼い正義感と道徳観が如何に脆く無常なものなのか、再考させられます。

 

15位

【ズートピア(原題:Zootopia)/2016年/米/R指定なし/カラー/108分/監督:Byron Howard, Rich Moore】

正直、ディズニー/ピクサーものは苦手で敬遠しがちだったんですが、これは見事にそういう考え方をぶち壊してくれました。流れとしては、もともと好きじゃなかったのに流行が凄すぎたので見たアナ雪が案の定全然自分には響かなくて、「あぁやっぱり合わんなぁ」と思っていた矢先にこれを見て固定概念を崩された感じです。何が凄いって、作中で扱われているテーマが行政の腐敗から、あらゆる差別、ドラッグ問題まで、とにかく今のアメリカが直面している問題を基礎にしていて、まさに「今のアメリカ」を表しているんですよこれ。テーマだけ見ても、骨極太のヒューマンドラマか冷や汗モンのサスペンス映画ができそうやのに、それを子供が見ても楽しめるエンターテイメントにしているわけでしょ。もうね・・・・制作陣頭良すぎか!!こんなもん作られたら日本のエンタメ産業は到底敵わんわ!!!と思ったほどです。これは本当に何度見てもよく出来ています!!ディズニー嫌いでもこれは一見の価値ありです。

 

14位

【ヒメアノ~ル/2016年/日/R15+/カラー/99分/監督:吉田恵輔】

どんな映画でもある程度始まったら、タイトルロゴが出てくるでしょ?この映画はそのタイトルロゴの出方が最高すぎて5億点です(笑)

もう理由はこれだけでもいいんですが、さらに言うなら映画の構成も、森田剛の演技も最高です。あと、R15指定なので、割とエグいです。この映画見た人なら、絶対、家の鍵を開けるとき周りを確認してから開けるようになったと思います(笑)そして、ヒロイン演じる佐津川真奈美がエロ可愛すぎて悶え死にそうになります。まぁ後半、話が凄惨を極めてくるので文字通り死にかけることにもなりますが、ヒロインも見てる僕も(笑)

 

13位

【ローグワン(原題:Rogue One: A Star Wars Story)/2016年/米/R指定なし/カラー/133分/監督:Gareth Edwards】

スターウォーズ初のスピンオフ映画。そして皮肉なことにスピンオフである今作が、本編のエピソード1~8のどれよりも映画としての出来がいい(笑)エピソード4の前日譚として作られましたが、エピソード3,5と言っても良い出来です。

スターウォーズといえば、ジェダイ、フォース、ライトセーバーなど選ばれし者が主人公として出てきますが、それに比べこの作品で物語を紡ぐのは、主人公も含め普通の人々で、誰も彼もとびきりスペシャルな能力があるわけでもありません。本編から見れば脇役と言われるような人々です。しかし、ジェダイの活躍の影では、彼らのような名もなき戦士たちが命を散らしながら任務を遂行していた‥そこにスポットライトをあてたからこそ、本作だけではなく、本編のスターウォーズにまで人間味というものをプラスさせることに成功していると思います。

ラスト10分、差し迫る脅威の中、まさに文字通り命を懸けて紡がれていく希望。もうね・・・・たまらんっすよ(語彙力(笑))わかるっしょ??見た人なら(笑)ラスト10分を見るために何度もこの映画を繰り返し見ています。

 

12位

【グレイテストショーマン(原題:The Greatest Showman)/2018年/米/R指定なし/カラー/105分/監督:Michael Gracey】

正直な話、主人公のバーナムはクソ男ですよ(笑)時代背景的に見世物小屋が普通にあった時代なので、社会的マイノリティーを集めて何かをするっていう発想自体はまぁ良いとしても、軽率な発言が過ぎるし、興行が乗ってくれば今までお世話になってきた仲間を捨て、目先の栄光と金に走る。最後は仲間に諭され、大切なものは何かってことにも気づきますが、まぁそこまでがね、もうクソ男ですよ・・・・・・・・・・・・・そう、ヒュージャックマンが演じなければね(昔のappleのCM風)。

・・・・・・・そうなんです!!!!この映画、ヒュージャックマンだからものすごく良いんです。嫌味じゃないんです。すんなり受け入れられるんです!(笑)ドストレート王道街道まっしぐらのこの映画もヒュージャックマンやから飽きずに見られるんです。もちろん、見終わった後すぐサントラ買うほどに音楽もいいんです。主人公クソ設定でも、ストーリーが王道でも、最後まで魅了してくれるだけの推進力があります。結果何が言いたいかというと「気持ちがいい」ってことです。見終わった後、素直に「良い映画見たな」と思えるはずです。・・・・・そう、ヒュージャックマンが演じてるからね。

 

11位

【フロリダプロジェクト 真夏の魔法(原題:The Florida Project)/2018年/米/R指定なし/カラー/115分/監督:Sean Baker】

アメリカ、フロリダ州にあるディズニーワールド。その周りには観光客を狙った格安モーテルや便乗店などが乱立しているが、それらを実際に利用している主な人たちは、犯罪歴など様々な理由から家を借りられない超低所得者層である。という前置きから始まる今作。「プロジェクト」といえばスラム化した集合住宅地を指すスラングでもあり、「プロジェクト育ち」と言えば麻薬や銃に関わりのある人間だと言われているらしく、夢の国のすぐ横で小さな子供が観光客にチップをねだる画はとても皮肉が効いています。・・・・・っとここまで書いていると悲惨な話なのかと思われますが、実際映画自体は「クソ肥溜めで繰り広げられるクソビッチから生まれたクソガキ共の大冒険」といったところ。自分の実情を知らない子供の目線で超貧困層の現実を実に面白おかしく描いていきます。都合の良い成長物語も、つまらない説教も、お門違いな否定もないのが本当に素晴らしく、それなのに、映画のラストはこちらに多くを語りかけてくるので、鑑賞後、思い返すたびに胸が熱くなります。

 

10位・・・・・・・の前に、この3年間で見た映画の中で、ダメダメだと思った映画を2つ紹介しましょう。正直、微塵も心を動かされなかった。得たものは映画館のポイントカードのポイントだけ。ではいってみましょう‼

【メアリと魔女の花/2017年/日/R指定なし/カラー/102分/監督:米林宏昌】

まずキャッチコピーの「魔女、ふたたび」っていうところからして芸がない。見た人ならわかると思いますが、ストーリー的な意味で「魔女、ふたたび」って意味にも取れますが、大抵の人はどうしてもジブリの魔女モノである「魔女の宅急便」か「ハウルの動く城」を思い出してしまうわけで、そういうものを期待してしまうと・・・・・ね(笑)米林監督のマーニーは割と好きだったんで期待してたんですが、こうまで全く心が動かない作品は久しぶりでした。作中、きらびやかな背景に色んなキャラが色んな演出で楽し気に様々なことをするんですが、自分でもビックリするくらい全くワクワクしない、どきどきしない。そしてそのまま終わる・・・・・・。なんということでしょう・・・・。

新スタジオとして、新しい一歩を踏み出すために、新しいことを新しいことをと考えていたら一周回って元の位置に戻ってきて、結局「宮崎駿イズム」から抜け出せないどころか、そのイズムさえ履き違えてしまったのかなぁと感じました。

【ヴェノム(原題:Venom)/2018年/米/R指定なし/カラー/112分/監督:Ruben Fleischer】

※ちょいネタバレあり。

まず初めに言っておきますが、僕はMARVELシリーズはあまり追っかけていません。ドクターストレンジや、ブラックパンサーなど、トレーラーを見て面白そうだなと思ったら単発で見に行く程度です。だからこのヴェノムというキャラクターについても当然何も知りませんでした。でも公開されたトレーラーを見ると、得体のしれない宇宙生物に寄生されたのは大好きなトム・ハーディー。そしてその宇宙生物は人を食料としてしか見ていない極悪非道っぽいキャラ。MARVEL作品とはいえ、ストーリー的にも演出的にもかなりエグいものが見られるのではないか、そう思わせてくれるほどにヴェノムのトレーラーは興奮するものだったのです。

それが蓋を開けてみれば「え・・・・人喰ってたかと思ったらチョコが好き??」「人食べといて、葛藤そんだけ?」「そんな可愛いギャグとか入れてくんの?」「え??・・・・あんなに謎で残忍だった宇宙生物は実は仲間内では落ちこぼれのあかんたれ??」等々、悪い意味で、トリプル役満のロイヤルストレートフラッシュのチェックメイトで期待を裏切ってくれました。・・・・結局は、完全子供向けかよ。制作陣ズートピア見て出直せよコルゥアアアアア!!!!!!ペラいプロットと子供だましの映像ではぐらかしやがって!!!!やるならDCぐらい重くしろっちゅうねん!!!!!ウルヴァリンがローガンでR指定にして傑作になったように、これもそうすりゃよかったんだよ…こんなん何がいいか全くわからん・・・・・。

 

っということで愚痴はこれくらいにして、ランキングに戻りましょう。

ではでは最後!!! 10位から1位、行ってみましょう。

10位

【アイアムアヒーロー/2016年/日/R15+/カラー/127分/監督:佐藤信介】

新感染同様、世界的ゾンビブームに乗った形で映画化された、日本初の本格ゾンビ映画。原作が完結する前に映画化されたので、有村架純演じるヒロインの早狩比呂美の扱い方が宙ぶらりんという致命的な欠点はあるものの、他は世界に出しても恥ずかしくないほどの高水準です。今までの日本映画にはなかったスケール感、息をつかせぬテンポ、実弾を使用した迫力、大泉洋の新境地と言ってもいいほどの演技、そして何より大事なゾンビの描写。どれをとっても褒めるところしか見当たりません。遂にこれが邦画でできるようになったかというレベルです。そういった意味でも、ここ数年で公開された邦画の中でもとても意義ある映画だと思います。あと、中学聖日記でも可愛かった有村架純ですが、この映画撮影時の有村架純はネ申レベルで可愛かった時期なのでそこも一見の価値ありです(笑)

 

9位

【マンチェスターバイザシー(原題:Manchester By The Sea)/2017年/米/R指定なし/カラー/137分/監督:Kenneth Lonergan】

主人公の兄が亡くなり、兄の子供(つまり甥)を引き取るところから始まる物語。これだけ見ればなんとなく話は想像できるかもしれませんが、話は多分あなたの想像とは全然違う方に進みます。かと言って、ドタバタものでも、ハラハラものでも、どんでん返しものでもありませんが・・・・・なんというか映画なんだから山場があって当たり前、成長して当たり前、問題解決して当たり前、オチをつけて当たり前なんて思っている人にはたぶん全く向かない映画だと思います。ただ言えることはこの映画はどの映画よりも現実的で、私たちのすぐ隣にある物語だと思います。癒えない傷も、消えない苦悩も、全て簡単にはなくならないから、一生抱えて生きていく、そんな映画です。

ちなみにこの映画、2016年2017年の数ある映画賞を軒並みかっさらった作品でもあります。

 

8位

【スリービルボード(原題:Three Billboards Outside Edding,Missouri)/2018年/米/R指定なし/カラー/115分/監督:Martin McDonagh】

冒頭で看板が象徴的に出てきた瞬間からエンディングまでどんどんどんどんどんどん引き込まれていきます。ミズーリ州の片田舎のムラ社会を下地に描かれる濃密な人間模様、気付かないうちに主人公が変わっていく様、ただのメッセージだと思っていた看板にメタ的な意味があることに気づいた瞬間など、もうとにかく脚本が素晴らしすぎる。最後のまさかな面子でのまさかの終わり方。映画見終わった瞬間、ふぉ~~~~・・・・。って唸ってしまいました(笑)

「I guess we can decide along the way.(それは道々決めればいい←これがまた名訳!!)」これに全てが表されているといってもいいと思いますが、これからどうなるかなどわからない、贖罪があるのかも定かではありませんが、あの二人がいる車内でこのセリフが出てくるのが・・・・んもうたまらん!!!!。・・・なぜにこれが脚本賞取らなかったし!!?

ちなみに、意外とブラックジョークも多いんですが、歯医者のシーン、笑ってしまったの俺だけ??(笑)

 

7位

【さよならの朝に約束の花をかざろう/2018年/日/R指定なし/カラー/115分/監督:岡田麿里】

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の脚本家としても知られる岡田麿里初監督作品。あの花は人生ベスト級に大好きな作品ですが、彼女が脚本を務めた「心が叫びたがってるんだ」は正直あまりピンと来ず。また「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」ではもう唖然とするほど救いがない。その上、彼女が書いた自伝を読んで、岡田麿里という人物があまり好きではないタイプの人間だったと知り、もうあまり期待しないでおこうと思い始めた時期に見た今作。

もうね‥‥‥‥‥‥涙ちょちょぎれた(笑)それこそ、あの花並みに泣いた(笑)心が叫びたがってるんだやオルフェンズは何だったのかと思うほどの出来。あの花でもラスト3話くらいで「あ、これ最終話で泣くやつや」って予想できましたが、これも「あ、これクライマックス絶対泣くやつや」と途中から思ってました(笑)案の定クライマックスでボロ泣き。何が良くてこんなに泣いたのかはあえて書きませんが、万人に見てほしい一作です。

 

6位

【ヘレディタリー 継承(原題:Hereditary)/2018年/米/PG12+/カラー/127分/監督:Ari Aster】

VVITCH、哭声の流れを汲む本作。「21世紀最高のホラー映画」というキャッチコピーはまんざら嘘でもありません。「直近50年のホラー映画の中の最高傑作」というのはさすがに言い過ぎな気もしますが(笑)ホラー映画と言っても色々ありますしね。この映画は、突然の大きな音やグロい描写で脅かすようなことはほとんどありません。序盤から不穏な空気が積み重なっていき、中盤から物語があらぬ方向へドライブしていく、そして最後に全てのタガが外れる様が、今世紀最高のホラーと言われる所以ですね。しかし監督自身はホラー映画として作ったつもりはないそうです。監督が実際に体験した地獄のような日々を少し脚色して作ったとインタビューで語っていた通り、本作の怖さの本質は霊や超常現象的なものではなく、他人事ではない自分の日常生活でも起こりうる怖さなので、それがこの映画がさらに怖いと思える一因になっています。また映画内で語られない空白があったり、宗教的下地があることから、鑑賞後に考察することが非常に楽しい作品となっています。

 

5位

【君の名前で僕を呼んで(原題:Call Me By Your Name)/2018年/米/PG12+/カラー/130分/監督:Luca Guadagnino】

同性愛というテーマだと、結構説教臭くなったり、社会的になりがちですが、そのようなものや、ありがちな葛藤、周囲との軋轢は全く描かれず、ただひたすらに美しい作品。どこまでも青いイタリアの避暑地を舞台に、現代的で、古典的で、ブルジョワで、スピリチュアルで・・・・、そんな初恋が描かれていきます。正直なところ、初見だと前半は退屈だったりするのですが、ラスト15分からエンドロールの最後まで、結構エモいことになるので、それを見るために見るといってもいいかもしれません。見終わるころにはこの世界観にどっぷりはまることでしょう。そしたら2回目を見るときは冒頭からもう「尊い・・・」と思うはずです(笑)

 

4位

【シングストリート 未来へのうた(原題:Sing Street)/2016年/アイルランド/R指定なし/カラー/105分/監督:John Carney】

家庭と学校に難があり、そんな状況から逃れるため、自分を表現するため、ポップミュージックにのめり込んでいくという青春映画。青春映画でのお約束事はだいたいなぞっていきますが、その過程が秀逸。疾走感と高揚感、そして少しの甘酸っぱさが相まってどんどん進んでいきます。これこそ、青春映画だ~~~~~~!!!!!何歳になっても青春映画ってのはいいもんだ~~~~~~!!!!と叫びたくなります(笑)あ!あと、途中バンドを組んで作曲までしていく彼らですがそれらの曲も聞けばすぐダウンロードしたくなるほどキャッチーでいい曲です。

上のポスターを見てください。俺が一番好きな登場人物が右から三番目のベージュ色のジャージを羽織った垂れ目の彼だと言っても信じてくれますか??(笑)彼が縁の下の力持ち過ぎて大好きです(笑)

 

ということで30位から4位+αで紹介してきた、ランキングも残すところあと3つです。ここまで12116文字(笑)全部読んでくれた人には感謝しかありません。ありがとうございます。あと千数百文字ですがお付き合いください(笑)

3位

【パターソン(原題:Paterson)/2017年/米/R指定なし/カラー/118分/監督:Jim Jarmusch】

もうね!!これ1位でもいいんですよ!!!それくらいにアダムドライバーが愛おしくなる一作(笑)そして憎らしいこのブルドックのフガフガいう鼻息(笑)

毎日だいたい同じ時間に起きて、仕事に向かう。仕事が終わって帰ったら奥さんが作ったご飯を食べる。その後、犬の散歩をしがてら、行きつけのバーで一杯ひっかける。そんな何の変哲もなく、変わり映えのないように見える生活でも、同じ日なんて一つとしてないし、小さなユーモアや変化、出会いが何かしらあるもんです。全てが詩編のような、優しくて美しい日常の物語。これを見たとき、ダブルワークで休みなんてほとんどなくて、消耗しきってたときなので、ものすごく沁みました。仕事仕事で退屈な毎日だわ~とか、変わり映えないわ~とか、刺激ほしいわ~とか思ってる人には是非この映画を見て、本当に今の生活ってそんな退屈なもんなんですか?と、再考してみてほしいです。アダムドライバーさいこ~~~~!!!

 

2位

【湯を沸かすほどの熱い愛/2016年/日/R指定なし/カラー/125分/監督:中野量太】

このランキングでもいろいろ「泣いた」とか「号泣した」ってのは書いてきましたが、後半涙止まらないので、拭くのもやめたほどだった映画はこれだけです(笑)もうね‥‥宮沢りえなにもんよ!!(笑)後半からの畳みかけるような母親の愛に圧倒されっぱなし!題名から言ってもあまり見ないタイプの映画だったので、見ず嫌いしないで本当に良かったと思います。

映画オリジナル作品で、割と先の読めない展開なので、泣き所に来た時の瞬間最大風速で涙腺が決壊する程度が他とは比べ物にならなかったです。様々な愛の形や深さ、熱さ、そして生きる意味など、字面だけ見ると安っぽく見えるかもしれませんが、正にこれらが心をこれでもかというほど揺さぶってきます。これは本当にここ数年の中でもトップの邦画だと思います。

・・・・・・・エンディングはちょっと狂気に感じたけど(笑)銭湯で‥って(笑)

 

1位

【ボヘミアンラプソディ(原題:Bohemian Rhapsody)/英・米/R指定なし/カラー/134分/監督:Bryan Singer(途中降板)】

第一位は現在も絶賛大ヒット中のボヘミアンラプソディー!!!!!ちょっと安易だったかな(笑)でも、本当に良い映画ですよこれ。Queenについて知らなくても全然問題ありません。

Queenの伝記モノというのはこれまでもたくさんありましたし、本当の史実が知りたい人はそちらを見てください。この映画は世界的ロックバンドとして急成長していく中での彼の苦悩、バンド仲間との亀裂、そして彼のセクシャリティーを、時にはフィクションを混ぜ、エンターテイメントとして見せてくれる。つまりQueenではなくフレディ・マーキュリーの物語です。

前半から少しずつ積み重なっていく不穏な空気と苦しみ。それらがすべて解放される圧巻の最後のライブエイドシーン。フレディがあのライブで命を削ってでも歌うことの意味、歌詞の意味、全てがとてつもないカタルシスをもたらします。皆さんはWe Are The Championの歌詞をちゃんと読んだことありますか?読んだことがあったとしても、この映画の最後で聞くこの曲は全く違う意味を持ってあなたの心に響くでしょう。

また、ここ数年様々な理由からLGBTQについての映画が作られており、世界的にも高い評価を得ています。LGBTQに関して、日本ではまだまだ意識が低い部分があるので、そういった意味でもこの映画はLGBTQの人々の考え方を伝えるという点で、傑出した作品でもあると思います。

ということで、「俺的シネマランキング2016~2018」楽しんでいただけたでしょうか。

人それぞれ評価はあるので、納得がいかない人もいるかもしれませんが、あくまでこれはお僕が見た感想なので(笑)

ではでは、またいつか更新するその時まで、しばしのお別れです。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


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